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■1 気分やからだにこんな不調は続いていませんか?
■2 こころやからだの不調にはアミンが関係している可能性があります。
■3 こころやからだに不調があらわれるのは、決して特別なことではありません。
■4 こころやからだに不調が続くのは、「うつ病」が関係しているかもしれません。
■5 単なる「落ち込み」とはここが違います。
■6 うつ病にはさまざまな症状があります。
■7 いろいろなうつ病があります。
■8 日常生活のちょっとした変化がきっかけになることも・・・
■9 ストレスをためない生活を送りましょう
■10 治療の基本は「休養」と「おくすり」です
■11 治療を始める前のこころがまえ
■12 うつ病治療のおくすり
■13 抗うつ薬の種類と特徴
■14 (周囲の方へ)受診を上手にサポートしてください。
■15 (周囲の方へ)生活を上手にバックアップしてください
■16 うつ病とはどのような病気ですか?
■17 なぜうつ病になるのですか?
■18 うつ病の症状にはどのようなものがありますか?
■19 どこに相談に行けばよいでしょうか?
■20 どのような治療をするのですか?
■21 治療に使われる薬にはどのようなものがありますか?
■22 薬はどのくらいの期間飲めばいいですか?
■23 副作用が心配です。
■24 通院で治りますか?入院が必要でしょうか?
■25 どのような人がうつ病になりやすいのでしょうか?
■26 部下がうつ病になりました。どのように接していけばよいでしょうか?
■27 家族にできることはなんでしょうか?
■28 うつ病にならないためにどのようなことを心がければよいですか?
■1 気分やからだにこんな不調は続いていませんか?
気分の不調
・ゆううつだ
・イライラする
・落ち着かない
・集中できない
・やる気が出ない
・何に対しても、興味が持てないからだの不調
・眠れない
・食欲がない
・疲れがとれない
・からだがだるい
・めまいがする
・頭が痛い
・肩がこる
・おなかが張る
今多くの人がこのような不調に悩んでいます。
不調の原因は何でしょうか?
■2 こころやからだの不調にはアミンが関係している可能性があります。
こころやからだの働きを活性化させ、意欲や気力をコントロールしている場所は、脳内にあります。脳内にはアミンという神経伝達物質があり、これが正常に働いていると、こころや体には活力があって、健康を保つことができます。
ところが、アミンがうまく働かなくなると、こころやからだにいろいろな症状があらわれるようになります。
■3 こころやからだに不調があらわれるのは、決して特別なことではありません。
ゆううつな気分になる、イライラするなどの「こころの不調」や、眠れない、頭が痛い、肩がこる、食欲が低下するといった「からだの不調」は日常生活でよく経験することです。しばらくすると、このような不調が自然に改善する場合は特に問題ありません。
しかし、こころやからだの不調が長く続いたり、繰り返し起こったりする場合は、放っておいても自然に治ることは少ないため、早い時期に医療機関へ行って医師に相談してみることが大切です。もしかしたら、単なる不調ではなく、その背景にはうつ病などのこころの病気が隠れているかもしれません。
■4 こころやからだに不調が続くのは、「うつ病」が関係しているかもしれません。
うつ病はゆううつ感や無気力な状態が長い期間回復せず、日常生活に支障をきたすようになってします病気です。うつ病は気分が落ち込むなどのこころの症状だけでなく、だるさ、不眠、食欲低下、頭痛などのからだの症状もみられます。決して難しい病気ではない!
うつ病はだれでもなる可能性があり、決して珍しい病気ではありません。厚生労働省が行った最近の研究では、日本人におけるうつ病の有病率は6.5%と報告されており、日本人の15人に1人は一生に一度はうつ病にかかる可能性があると考えられます。また、女性のうつ病の有病率は8.3%で、男性の4.2%と比較すると2倍もうつ病になりやすいと言われています。
単なる気の持ちようでは治らない!
周囲の人に「ゆううつな気分だ」と訴えると。「気の持ちようだ」とか、「気にしすぎ」などと言われることがあるかもしれません。しかし、うつ病は、脳内の神経伝達物質の働きが低下して活力不足となり、ゆううつな気分に見舞われるため、単なる気の持ちようではなく、治療が必要になります。
■5 単なる「落ち込み」とはここが違います。
日常生活でも気分が落ち込むことはよくあることです。例えば失恋をしたり、仕事で大きな失敗をしたりすると、気分は落ち込みます。しかし、多くの場合は数日で回復し、また元気に"頑張ろう"と思えるようになります。
ところが、いつまでたっても気持ちが沈んだまま、回復せず、2週間以上もこのような状態が続く場合は、うつ病の可能性が疑われます。
また、落ち込みの程度はいつも同じではなく、多くの場合朝に重く、夕方になると軽くなる傾向があります。このように一日の中で気分の落ち込みに変化があることを「日内変動」といい、うつ病の特徴の一つにあげられます。
この他、悩みや心配事があっても眠れなかった経験のある人も多いと思います。不眠はうつ病で最もよくあらわれる症状の一つです。うつ病の場合は夜眠れないこともありますが、早朝から目が覚めてしまうという場合も多いようです。
このように単なる気分の落ち込みとうつ病にはいくつかの違いがあります。
■6 うつ病にはさまざまな症状があります。
こころの症状
気分の落ち込み
・気分が落ち込み、ゆううつな気分になる。
・悲しい気持ちになる。
・何の希望もなくなる。
意欲の低下
・これまで好きだったことへの興味や喜びがなくなる。
・気力が低下して、何をするにもおっくうになる。
・人づきあいもいやになる。
・仕事をしたくなくなる。
・新聞やテレビを見なくなる。
・身だしなみに感心を払わなくなる。
あせり・罪悪感
・あせってイライラする。
・根拠もなく、自分の責任だと思う。
・過去の小さなことを思い出しては悩む。
思考力の低下
・集中力がなくなり、能力が低下する。
・物事の判断ができなくなる。
からだの症状
睡眠
・眠れない。
・眠りが浅かったり、朝早く目が覚めたりする。
・朝、目覚めたときが一番ゆううつである。
・睡眠不足から、頭痛や肩こりに悩まされる。
食欲
・食欲がなくなる。
・何を食べてもおいしいとは思えず、砂をかんでいるようだ。
・体重が減った。(または増えた)。
・胃がもたれる。むかつきがある。
自律神経系
・微熱が続く。
・ときどきめまいがする。
・息切れがする。
・冷や汗や寝汗をかく。
・からだがだるい。
・動いていないのに、疲れやすい。
・からだの動きが遅くなる。
・トイレが近くなる。
・便秘・下痢に悩まされる。
ホルモン系
・生理不順が続く。
・性欲が落ちる。
うつ病はこころとからだの両方に症状があらわれます。特に原因がわからないのに、こうした症状が2週間以上続いている場合は、うつ病の可能性も考えられます。
■7 いろいろなうつ病があります。
うつ病は私たちの身近にある病気です。
うつ病には、次のようなさまざまなタイプがあります。
仮面うつ病
こころの症状はそれほど目立たず、からだの症状が前面に出てきます。うつ病とわかりにくのが特徴です。
老人性うつ病
高齢者ではからだの衰えに喪失体験などのストレスが加わって、うつ病になりやすいと言われています。高齢者のうつ病では、身の置き所がない、物覚えが悪くなったといった不安感や焦燥感が強く出たり、からだの症状が全面に出たりすることもあります。
躁うつ病
愉快で爽快な躁の気分が続く躁状態と、ゆううつな気分を繰り返します。躁状態のときは、気持ちが高揚して自信に満ちており、一見回復したようにも思われるため、なかなか病気と気づかれません。
女性のうつ病
調査によると、女性は男性の2倍うつ病になりやすいと言われています。それは、月経(女性ホルモン)と関係していて、女性特有のストレスを感じやすい月経前、妊娠・出産、子育て、更年期は症状が出やすくなります。
月経前うつ病
月経の10日前くらいから、イライラする、落ち着かない、怒りっぽくなるといった症状があらわれます。慢性的に続くと、生活に支障があらわれるようになります。
産後うつ病
産後2~3週間以降にイライラするなどの精神症状があらわれます。まら、だるさや頭痛などのからだの症状だけが強くあらわれることもあります。
更年期うつ病
閉経前後、卵巣機能の低下によって、女性ホルモンの分泌量が減少するため、自律神経失調症状があらわれます。ゆううつになったり落ち込んだり、こころの変調もあらわれます。
■8 日常生活のちょっとした変化がきっかけになることも・・・
うつ病の発症には、病気やけが、学校や職場の人間関係、子供の独立、家族や友人の死別といった日常生活のストレスとも関係があると言われています。ストレスの感じ方には、個人差があり、他人から見ればうれしいと思われることでも、本人にとっては重荷でストレスと感じることもあります。また、自分ではストレスを自覚しなくても、からだやこころに負担がかかっていることもあります。
環境変化によるプレッシャー・ストレス
就職、昇進、転勤、転職、入学、転校、結婚、出産など。
からだへのダメージ
病気、けがなど。
何かを失うことへの不安・むなしさ
子供の独立、失業、離婚、退職、閉経など。
別れの悲しみ
家族や友人との死別、失恋など。
■9 ストレスをためない生活を送りましょう
自分の性格を知る
まじめで几帳面、完璧を目指す性格の人は、ストレスがたまり、うつ病になりやすと言えます。これを避けるには、こうした自分の性格を心得ておくことが大切です。
がんばりすぎない
がんばりすぎないことが大切です。休んだ後に遅れを取り戻そうと考えたりせず、気持ちに余裕を持たせましょう。
自分への負担を軽くする
何でも自分ひとりでやろうとすると、ストレスがたまります。他の人に相談して、手伝ってもらい、なるべく負担を軽くするようにしましょう。
マイペースな生活を
他人がどのように思っているかなどを気にしすぎず、マイペースな生活を心がけましょう。
環境が変化するときは十分に休養を
生活に変化があったときは、休養をとったり、家族や友人と話す時間を作ったりするよう心がけましょう。
アルコールの飲みすぎに注意
アルコールは気持ちをリラックスさせる効果はありますが、大量に飲み続けるとからだに悪い影響を与えたり、アルコール依存傾向になることもあります。コップ1~2杯程度の適量にしましょう。
■10 治療の基本は「休養」と「おくすり」です
うつ病は、早い段階に、適切な治療を受ければ、治る病気です。しかし、放っておくと慢性化しやすく、再発しやすい特徴があります。
うつ病治療の中心は抗うつ薬などのおくすりとなり、うつ病の多くはおくすりを服用することでよくなります。
ただし、いくらおくすりを飲んでも、病気のきっかけとなったストレスを持ち続けている状態では、なかなかよくなりません。
おくすりを飲みながら、十分な「休養」をとることも必要です。長期にわたって休みが必要になる場合もあります。また、こころの負担になっているような環境の調整も必要です。
うつ病を長引かせないためにも、きちんと医師の指示にしたがって治療を続けることが大切です。
■11 治療を始める前のこころがまえ
少しでも早く医療機関に相談する
うつ病は、適切な治療を早期に受ければ、よくなります。症状に心当たりがある方は、少しでも早く医療機関を受診し、治療を始めることが重要です。
回復をあせらない
おくすりの効果がでるまでには2~4週間かかります。また、症状が回復するためにもある程度の時間がかかります。順調に回復すれば3ヶ月程度で寛解しますが、6ヶ月から1年程度かかることもあります。うつ病はよくなったり、悪くなったりを繰り返すため、目先の治療効果や症状の変化にとらわれず、じっくり構えて治療にのぞむようにしましょう。
自分の判断で治療をやめない
治療には、十分な量のおくすりを服用することが大切です。症状がよくなったからといってすぐにくすりの服用をやめてしまうと、再発する場合があります。自分の判断でおくすりの量を減らしたり、やめたりしないようにしましょう。
■12 うつ病治療のおくすり
うつ病治療に使用されるおくすりを一般的に抗うつ薬と言います。
抗うつ薬とは?
抗うつ薬はうつ病やうつ状態に効果のあるおくすりです。うつ病の患者さんは脳内のセロトニンとノルアドレナリンという物質の働きが低下していると考えられており、抗うつ薬には、このセロトニンとノルアドレナリンのどちらかあるいは両方の働きを回復させる働きがあります。
効果があらわれるまでに時間がかかります。
効果があらわれるまでには、約2~4週間かかる場合があります。効果があらわれないからといって、あせる必要はありません。
少量から始め、少しずつ増やしていきます
抗うつ薬は、基本的には少量から始めて、徐々に増やしていきます。これは患者さんに必要な量を調整するために必要なことで、副作用を避けることにもつながります。途中でくすりの量が増えていくのは、症状が悪化したためではないかと不安にならないでください。
症状がよくなっても、服用を続けましょう
うつ病は再発・慢性化しやすいため、症状がよくなっても、しばらくはくすりを飲み続けることが大切です。抗うつ薬には、依存性や習慣性はありませんので、安心してください。
副作用が出たら相談しましょう
抗うつ薬の飲み始めに、吐き気やめまいなどの副作用があらわれる場合もあります。しかし、しばらくがまんして飲んでいると、ほとんど自然になくなります。そのため、おくすりを勝手にやめないで、副作用があらわれたら、医師と相談してください。
■13 抗うつ薬の種類と特徴
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)
うつの原因と考えられている、セロトニンにのみ働くため、副作用が少ないのが特徴です。飲み始めに吐き気、嘔吐、胃もたれなどの症状があらわれることがありますが、しばらくがまんして服用していると、自然に消失するケースが多いと言われています。世界的によく使われている抗うつ薬です。
SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)
うつ病の原因と考えられるセロトニンとノルアドレナリンの両方に作用します。神経伝達物質アミンの中のセロトニンとノルアドレナリンなどが、うつ病に関連しています。
三環系抗うつ薬
うつ病の改善効果を持つ反面、"アセチルコリン"という体内物質の働きを抑えてしまう作用もあるため、便秘や尿の出が悪くなる、口が渇くなどの抗コリン作用と呼ばれる副作用が起こります。
非三環系抗うつ薬
三環系抗うつ薬による抗コリン作用を発現させないように考えられたおくすりです。うつ病への効果は三環系より劣ると言われていますが、副作用の発現が三環系よりも少ないとされています。
抗不安薬
不安、緊張、イライラなどの症状に効果があります。うつ病でみられる不安やイライラにも効くため、抗うつ薬と一緒に用いられます。
睡眠薬
うつ病では不眠がよくあらわれるため、睡眠薬が一緒に処方されることがあります。
■14 (周囲の方へ)受診を上手にサポートしてください。
体調不良が続いているご家族がいたら、一度受診するように勧めてください。
不安を広げないように声をかける
受診を勧めるときは、受け入れやすい言葉を選んで声をかけます。"うつ病"や"病気"という言葉を使わずに、疲れなどと言い換え、提案するような言い回しにしましょう。
例)こころとからだの疲労を診てもらったほうがいいのでは?
「なぜ?」と、病気の原因探しをしない
うつ病だとわかると、「なぜ病気になったのか」と、とかく原因探しをしがちです。しかし、実際にはさまざまな原因が関係していて、特定できないことがほとんどです。病気の原因探しをするよりも、ご家族は、「どうすればよくなるか」を考えるようにしてください。うつ病を治す力を持っているのは、ご家族の存在なのです。
ご家族の受診で、診察できることもあります
ご家族が不調に気づいても、本人が受診に消極的なケースもよくあります。こんなとき、ご家族が代わりに受診されるのも、一つの方法です。そして、医師から聞いたことを本人に上手に伝えます。このとき、治る病気であること、治療が必要であること、病院内の様子を伝えると、本人の不安を少しでもやわらげてあげられます。
■15 (周囲の方へ)生活を上手にバックアップしてください
うつ病の治療には、一緒に生活するご家族の支えが必要です。
はげまさない
うつ病の人に「がんばって!」と励ますのは逆効果になります。今はがんばりたくてもがんばれないことを理解してあげてください。今までと態度を変えず、普通に接することが患者さんの安心につながります。
考えや決断を求めない
決断を求めないようにします。「今日は何を食べたい?」と聞かれたときに、「何でもいい」と答えると、うつ病の人は考えなければならなくなります。それよりも「カレーがいい」などと具体的に答えて負担を減らしてください。
無理に外出や運動を勧めない
外出や運動は、健康な人にとっては気分転換になります。しかし、うつ病の人にとっては、外出や運動も負担になる場合があります。
重要な決定は先延ばしに
金額の高い買い物、引っ越しなど、大事なことを決定するのはストレスになります。できることなら、決定は病気が治ってからにしましょう。
日常生活の負担を減らす
家事が負担になっていることがあります。「食事はつくらなくてもいいよ」「ワイシャツはクリーニングに出して」など、家事の負担を減らしてください。
■16 うつ病とはどのような病気ですか?
わかりやすく言うと、心が疲れたために、気分がゆううつで元気が出ない状態が続く(普通2週間以上)場合を「うつ状態」と言います。心理的原因だけでなく、身体的病気でもうつ状態になります。うつ状態があらわれる病気を「うつ病」と呼んでいます。
うつ状態の反対で、元気がありすぎる状態を「躁状態」と言います。同じ患者さんがうつ状態になったり躁状態になったりと両方の気分変化を示すこともあります。このようなタイプは、最近はうつ病と呼ばずに、例えば「双極性障害」と呼ぶことが多いようです。これらも含めた全体を、以前は、「躁うつ病」と呼びましたが、近頃は「気分障害」や「感情障害」といった用語がよく使われます。
うつ病は小児から老年期まで、どの年代でも発病する非常に多い病気で、6人に1人は発病するという調査もあるくらいです。最近は軽症のうつ病や、身体的症状の目立つうつ病(仮面うつ病)などが増えてきているようです。
はじめのうちは、体に異常があるのではと考えて医療機関を転々とすることがしばしばみられます。検査しても異常がないので、たるんでいると誤解されたりもします。しかし、正しい、診断と適切な治療が行われれば、ほとんどのうつ病はたいへんよく治ります。
■17 なぜうつ病になるのですか?
人は自分にとって大切なもの(対象)を失ったときなどに(心理的原因)、悲しみ、空しさ、気力の低下を感じます。それが体の症状としてでることもあります。例えば、不眠、頭痛、心臓がドキドキする、疲労感、食欲不振等・・・。これがうつ状態です。
健康な人なら、例えば失った事実を次第に認め、悲しみや喪失感を体験するうちに、新たな事実を受け入れていくといった形で、うつ状態を克服していきます。
ところが、几帳面で真面目な性格の人が過去の失敗にこだわったり、ささいな失敗を悔やみ、うつ状態からなかなか立ち直れないことがあります(性格的素因)。そのほかにも、職場の人間関係のトラブルや、家庭での夫婦間や親子間での争い(環境的要因)から、ストレスや慢性的な疲労がたまり、身体のバランスを崩した状態がうつ病の発症につながることもあります。
このとき、脳内の神経伝達物質(例えば、セロトニン等)が重要な役割を果たしており、抗うつ薬がこのアンバランスな状態の改善に役立つともいわれています。
治療により、うつ状態のきっかけとなった心理的原因、環境的要因を受け止められ、それが改善され、身体的にも元気を回復し新たな人生を自ら歩み出し、うつ病から抜け出すことができます。
■18 うつ病の症状にはどのようなものがありますか?
高齢者では不安感やイライラがあらわれやすいとか、うつ病の種類や年齢によって症状にも特徴がありますが、その中でも共通してよくみられる症状を、「自覚症状」と「家族や周囲の人が気づきやすい症状」の二つにわけてみました。
また、「日内変動」といって、朝から午前中にかけて症状が強くでることがよくあります。
自覚症状
・気分の低下
気分がゆううつ、めいる、寂しい。
・意欲の低下
やる気が起きない。何も考えたくない。
おっくうだし、すぐ疲れる。集中できない。
迷って決められない。
・思考の異常
自分を責めてばかりいる。
自分はいないほうがよいと思う。
もう生きている価値がない、未来がないと感じる。
自殺を考える。
・不安・焦燥
何か不安で落ち着かない。イライラする。
・睡眠の異常
いつもより早く目が覚めて熟睡感がない。
・身体的な異常
お腹が空かない。食べてもおいしくない。
体がだるい。頭が重い。はっきりしない。
家族や周囲の人が気づきやすい症状
・何にも興味を示さなくなった
・てきぱきとやれなくなった
・セックスに消極的になった
・急にやせてきた
・暗い表情で笑顔が見られなくなった
・外では動けるようなのに、家では横になっていることが多くなった
・「取り返しのつかない過ちを犯した」とか「不治の病気にかかった」とか思い込んでいる
■19 どこに相談に行けばよいでしょうか?
気分がゆううつだったり、元気が出なかったり、体がだるかったら、まず、精神科や神経科を受診しましょう。
身体疾患からくる場合もありますから、身体的な症状が気になったら、かかりつけ医や内科外来等で診察を受け相談するのもよいでしょう。
身体的診察、検査で、異常が発見されない場合、かかりつけ医や内科医等がうつ状態やうつ病を疑い、精神科や神経科の受診を勧めるでしょう。これらの科では気軽に相談に乗ってくれますので、あなたのつらい話もきいてもらえるでしょう。うつ状態、うつ病と正しく診断することが、うつ病治療にはとても大切なことです。
最近では、うつ状態、うつ病を心療内科でも診療しています。
■20 どのような治療をするのですか?
うつ状態にはいろいろな症状や病気の状態があり、軽度から重度までさまざまです。またそれを引き起こす原因も複雑にからみあっています。例えば、心理的原因、環境的要因(家族関係、職場、学校等)、性格的素因、身体的状態、年齢等が関係しています。
治療を行う場合、これらの要素を考えながら対応します。
治療に使われる薬物については後で説明します。心理的原因、環境的要因に対しては、精神療法的アプローチを行います。
患者の深い悲しみ、喪失感、無力感に共感し、必ず回復するのだから、それまで焦らず、一時的に職場から離れゆっくりと休養をとることをすすめます。
家族や職場の理解も不可欠です。うつ病はガソリンの切れた車のようなもので、エネルギーがたまるのをじっくりと待つ余裕も必要です。責めたり、励ましすぎるのはかえってマイナスになるので気をつけましょう。
■21 治療に使われる薬にはどのようなものがありますか?
薬物療法では、主に抗うつ薬と呼ばれる薬が使われ、副作用もありますが、うつ病のほとんどの症状によく効きます。
日本で使える抗うつ薬は十数種類あり、症状や副作用の出方によって、その患者さんに合った薬の種類や量が決まっていきます。飲み方は食後3回だけでなく、寝る前1日1回でよい薬もありますし、また点滴注射のできるものもあります。
このほか、抗不安薬、睡眠薬なども併用することがあります。また更年期のうつ病では女性ホルモンが効く場合もあります。
第一世代の抗うつ薬
化学構造から三環系抗うつ薬と呼ばれる古典的な薬で、副作用は多いが効果は強い。
第二世代の抗うつ薬
四環系抗うつ薬と呼ばれる比較的新しい薬などで、効果はやや弱いが副作用は少ない。
気分安定薬
躁状態があらわれる患者さんや、気分の変化の激しい場合に服用する。
■22 薬はどのくらいの期間飲めばいいですか?
抗うつ薬を飲む期間を、3段階に分けて考えてみましょう。
薬の量に個人差があるように、飲む期間も患者さんによって違います。下に書いている期間はあくまで一つの目安です。
急性期治療
症状をすっかりとることが目標。薬があうと2週間くらいで効果が現れる。順調なら3ヶ月くらいで症状はほぼ消える。
↓
継続治療
症状が消えたら、その状態を安定させることが目標。6ヶ月前後続けるのが一般的。
↓
維持治療
再発の危険が高い場合、その予防のために治療を続ける。期間についてはいろいろな説がある。
■23 副作用が心配です。
副作用ではないかと気になったら、主治医に知らせてください。副作用かどうか判断し、適切な対策を考えてくれるはずです。
副作用だと思い込んで、自己判断で薬をやめたり減らしたりしないでください。うつ病の症状を副作用と間違えることがときどきあるからです。
特に高齢の方は、副作用が出やすいものです。
主な副作用
・眠気、頭がボーッとする
・立ちくらみ、ふらつき
・目がぼやける
・口が渇く
・吐き気、李がムカムカする
・脈が速くなる
・手の規則的なふるえ
・便秘、尿が出にくい
・生理が不規則になる、乳汁が出る
■24 通院で治りますか?入院が必要でしょうか?