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■1 躁の前兆
■2 うつの前兆
■3 躁状態
■4 躁状態のステージ
■5 うつ状態
■6 妄想
■7 うつ病との比較
■8 双極性障害と単極性障害の違い
■9 躁病の診断に際し特に重要な症状を表すキーワード
■10 リチウム療法禁忌疾患等
■11 躁病の治療薬等
■12 国内で使用できる抗うつ薬
■13 臨床症状と抗うつ薬の選択
■14 入院の適応と判断するポイント
■15 治療(初診時等)のポイント
■1 躁の前兆
不眠症になる、エネルギーが湧き出す、アイディアがどんどん出てくる、何でも書きたくなる、いらいらがつのる、お金を浪費する、無用な電話をかける、たえず動き回る、食欲が増す、幸福感にあふれる、優越感を覚える、創造的になる、野望が強くなる、責任はすべて自分にあると思う、極度に神経質になる、睡眠時間が減少する、他人の動きが鈍く見える、説教したくなる、多くの計画が出てくる、不適切な答えをする、経済的な損失を出す、じっとしていられない、休むことをしらない、むしょうに何でも食べたくなる、人生は素晴らしいと思う、自分は重要人物だと思う、妄想にとりつかれる、異常なほど情熱かになる、非常に生産的になる、多くのことに対して同時に手を染める、不安におののく、何ごとにも集中できない、ものごとに深入りする、非現実的になる、いつもより神経質になる、現実を無視する、不適切な行動をする、誤った判断をする、忘れっぽくなる、アルコール類を多く飲む、危険な運転をする、地域社会の活動に深入りする、体がうずく、友人が「君は変わった」という、何ごともやりっぱなしになる、怒りっぽくなる、何ごとにも否定的になる、これから起こる ことを予想できる、いつもより騒がしくなる、奇抜な考え方をする、わけもなく笑い転げる、スリルを求める、異常な性行動に走る、自分自身や周囲を傷つける、家中をくまなく掃除する、体中がかゆくなる、体がほてる、社交的になる
■2 うつの前兆
何ごとにも逃げ腰になる、何もしなくなる、すぐに疲れる、眠りすぎる、話が遅くなる、ねぼける、食欲がなくなる、すぐにいらだつ、集中力がなくなる、すぐに混乱状態になる、すぐに泣く、意気消沈する、何もしたくなくなる、動くことができなくなる、エネルギーがなくなる、話をしなくなる、不眠症になる、ベッドから起き上がれなくなる、吐き気を覚える、何事にも反対の態度を取る、精神力がなくなる、自尊心がなくなる、何事にも興味を失う、自殺願望が生じる、自分を傷つけたくなる、楽しいことがなくなる、これまでできたことができなくなる、安全に不安を持つ、不安感に襲われる、いらいらが募る、首まわりがこるようになる、腰痛になる、性欲がなくなる、極度に悲しがる、過食するようになる、駄菓子類を食べるようになる、愛情表現ができなくなる、感情が消失する、すべてが乱雑になる、頭髪がボサボサになる、学習能力が落ちる、湿疹が出はじめる、白い点が目の中を走る、服を着ることが困難になる、過去の判断を悔やむ、自分を理解してくれる人はいないと思う、自分の人生は失敗だったと思う、倦怠感に陥る、恐怖感に陥る、看護してもらいたいと思う、全身 が痛む、頭痛がする、体がふるえる、感覚が麻痺する、妄想に襲われる、塩辛いものが好きになる、ソーダ飲料が飲みたくなる、すぐにフラストレーションを起こす、人を避けるようになる、不器用になり物をよく落とす、夏でも厚着をするようになる、視力が低下する、甲状腺が腫れる、大酒を飲むようになる、皮膚がカサカサになる
■3 躁状態
◆1) 爽快気分、気分高揚
・気分的には、とにかくうきうきした気分で楽しくて仕方ない。
◆2) 自尊心肥大、誇大性
・誰かれとなく話しかけたくなり、話す人がいなければ電話をかけて長話したり、あるいは鼻歌でも歌いたくなる。
・何事もうまくいくように思えて楽観的になる。
・自分が誰よりも優れた人間に思えてくる。
◆3) 睡眠欲求の減少
・眠らなくても平気で夜遅くまでかまわず行動し、朝早くから起き出して活動する。
◆4) 多弁、会話心迫
・人と話始めると話がやまず、こちらが口をはさめないほど延々と話し続ける。
◆5) 観念奔逸
・話は、連想が豊かでどんどん広がるが、逆にどの話も中途半端でまとまらない。
◆6) 錯乱
・観念奔逸が顕著になると、本人の中では連想から出てきた言葉であっても周囲には全くまとまりのない断片的な発言としか思えないほどになる。
◆7) 注意散漫
・話をしている最中も周囲の音や周囲に見えるものに気を取られて話がそちらの方にそれていく。
◆8) 音連合
・自分の話した言葉の語呂合わせが思いついてそちらに話がそれる。
◆9) 活動性亢進
・朝早くから起き出して、人に電話したり、部屋の模様替えをしたり、早朝より出勤して、仕事をしたり、盛んに活動する。
◆10)行為心迫
・何もせずにはいられなくなり、じっとしていられなくなる。
◆11)快楽的な行動への熱中
・楽観的になっているので、借金をしてまで不相応な高額の買い物をしたり、異性に声をかけて性的に無分別な行動に走ったりする。
◆12)易怒性
・さらに躁状態が進行すると、話をさえぎられたり、自分の行動を止められると容易に怒り出す。
■4 躁状態のステージ
◆1) 気分
<ステージⅠ>感性不安定、高揚気分、邪魔されるといらいらする、誇大性
<ステージⅡ>うつ↑、敵意、怒り
<ステージⅢ>不機嫌、パニック、絶望的
◆2) 認知
<ステージⅠ>誇大性、自信過剰、場当たり的・接続的思考、考えが競い合う感じ
<ステージⅡ>観念奔逸、妄想
<ステージⅢ>滅裂、奇異な妄想、幻覚、関係念慮
◆3) 行動
<ステージⅠ>行動↑、言語↑、浪費↑
<ステージⅡ>行動↑、会話心迫↑、攻撃
<ステージⅢ>異常な興奮、奇異な行動
■5 うつ状態
◆1) 抑うつ気分
・嫌な気分が一日中、毎日毎日持続する。
◆2) 興味喪失
・それまで関心をもっていたことに全く興味がもてなくなる。
◆3) おっくう感、意欲低下
・何もするのもおっくうでやる気になれない。
◆4) 食欲低下
・食欲がなく、食べても砂をかむようでおいしいと思えない。
◆5) 体重減少
・体重が何kgも減ってしまう。
◆6) 不眠、早朝覚醒
・夜は寝つきも悪く、朝早く暗いうちから目が覚めて眠れない。
◆7) 制止
・身体の動き全体が鈍くなってしまい、機敏に動けない。端から見ても動作がゆっくりになってしまう。
◆8) 焦燥
・苦しさに頭を抱え込んでいたかと思うと、じっとしているのも苦しく、頭をかきむしったり、どうしよう、どうしよう、と落ち着かずに歩き回る。
◆9) 易疲万感
・何をしてもすぐに疲れてしまう。
◆10)自責感
・夜眠れないと、嫌なことばかりが頭に浮かび、悶々とする。過去に失敗したことを悔やんだり、うまくいかないのはすべて自分が悪いと、考えてしまう。
◆11)微小念慮
・自分は迷惑ばかりかけている存在であり、世の中の何の役にも立たない、取るに足らない人間だと感じる。
◆12)思考制止、思考力減退
・頭の回転が悪くなったような感じで、考えが進まず、人の話を聞いても全く頭に入らない。
◆13)集中困難
・本を読もうとしても数行でさえ頭に入らず、同じ所ばかり読んでしまい、とても集中して読めない。
◆14)稀死念慮
・こんな状態では生きていても仕方ない、何ひとつ希望が見出せない、死んだ方がましだと思うようになる。
◆15)自殺念慮
・自殺をするしかないと思う。
■6 妄想
◆1) 躁状態
誇大妄想
◆2) うつ状態
微小妄想(特殊な形:不死妄想)
・罪行妄想
・貧困妄想
・心気妄想
・虚無妄想
・否定妄想
※1 不死妄想+否定妄想=コタール症候群
※2 上記妄想は「気分に調和した精神病症状」
※3 誇大妄想や罪行妄想から発展した「被害妄想」
は「分裂病的な一時妄想」の場合もある。
※4 妄想は躁状態の患者のおよそ半数
うつ状態の患者の3分の1程度
(幻覚は妄想より少ない)
※5 精神病症状は病相を反復するにつれて次第に減少
■7 うつ病との比較
◆1)病名 双極性障害「躁うつ病」 : うつ病
◆2) 症状 躁、うつ : うつ状態のみ
◆3) 頻度 100人に1人 : 5~10人に1人
◆4) 治療 生涯 : 1年以内
◆5) 薬 気分安定薬 : 抗うつ薬
リチウム・バルブロ酸 : SSRI
◆6)再発 多くの場合再発 : 多くは1回のみ
■8 双極性障害と単極性障害の違い
◆1) 自然経過
・発症年齢
(双極性障害)早い (単極性障害)遅い
・病相数
(双極性障害)多い (単極性障害)少ない
・病相の長さ
(双極性障害)短い (単極性障害)長い
◆2) 疫学
・生涯罹患率
(双極性障害)約1% (単極性障害)約5%
・大感情病の比率
(双極性障害)20~50%(単極性障害)50~80%
・性差
(双極性障害)なし (単極性障害)女性が多い
・物質乱用
(双極性障害)しばしば(単極性障害)少ない
◆3) 人格/人間関係
・うつ的、内向性
(双極性障害)少ない (単極性障害)多い
・社交性
(双極性障害)多い (単極性障害)少ない
・衝動制御
(双極性障害)少ない (単極性障害)多い
・刺激の追及
(双極性障害)多い (単極性障害)少ない
・離婚率
(双極性障害)高い (単極性障害)低い
◆4) 家族歴
・一卵性双生児の一致性
(双極性障害)高い(単極性障害)低い
・第一度親族の躁病
(双極性障害)多い(単極性障害)少ない
◆5) 睡眠
・睡眠の持続
(双極性障害)長い (単極性障害)短い
◆6) 薬理学的反応
・三環系抗うつ薬への反応
(双極性障害)低い? (単極性障害)高い?
・リチウムの抗うつ効果
(双極性障害)高い (単極性障害)低い
・MAO阻害薬での躁(軽躁)転
(双極性障害)しばしば (単極性障害)少ない
・抗うつ薬の予防効果
(双極性障害)効果少ない(単極性障害)効果あり
■9 躁病の診断に際し特に重要な症状を表すキーワード
◆1) 感性の特徴
興奮、爽快、高揚した気分、多幸感、尊大、情動不安定、焦燥感・いらだち、多い要求、自己中心的、我慢することに対する低い耐性
◆2) 認知の特徴
高揚した自己評価、誇大性、会話の障害、大声で単に韻を踏む会話心拍、観念奔逸、支離滅裂の悪化、判断の乏しさ、無秩序、パラノイア、妄想あるいは幻覚
◆3) 身体的特徴
無限のエネルギー、不眠、睡眠の必要性がほとんどない、食欲の減退
◆4) 躁病の兆候
精神運動焦燥(興奮)
■10 リチウム療法禁忌疾患等
・腎疾患 +++
・心筋梗塞 +++
・心伝導障害 ++
・てんかん +
・パーキンソンニズム ++
・遅発性ジスチネジア +
・痴呆 +
・小脳疾患 +
・重症筋無力症 +++
・妊娠 +++
・産褥 +++
・授乳期 ++
・相互作用を有する薬剤の服用中 +~+++
+ 注意
++ 慎重な臨床的観察と臨床検査による監視が必要
+++禁忌
■11 躁病の治療薬等
◆1)定型抗精神病薬:精神病様症状、強力な鎮静作用
・ゾテピン(ZTP):強力な抗躁作用
・スルトプライド:強力な鎮静作用、抗幻覚、抗妄想作用、抗躁作用
・クロルプロマジン、レジメプロマジン、ハロペリドール、チミペロン:鎮静作用、易刺激性、攻撃性の改善
◆2)非定型精神病薬:抗躁作用(過鎮静と副作用が少ない)
・オランザピン:急性躁病に有効
・リスペリドン:抗躁作用
◆3) 気分安定薬と抗精神病薬の併用薬物療法を行う理由
・抗精神病薬の併用で鎮静作用の増強と即効性が来たいできる
・抗精神病薬には睡眠増強作用がある
・躁病はしばしば妄想などの精神症状を合併している
・抗精神病薬には抗躁作用がある
◆4) 躁病の維持療法
・重症躁病のエピソードの後、あるいは双極性障害のエピソードが2度あったときには再発予防のため維持療法を考慮する必要がある。
<急性躁病>
・典型的な爽快気分が前景にでている躁病:リチウムが有効
・躁うつ混合状態の躁病、ラピッドサイクリング:VAP、CBZが第一選択薬
■12 国内で使用できる抗うつ薬
※一般名(商品名) 初期投与量(最高投与量)
◆1) 第1世代
<三環系>
・イミプチミン(トフラニール、イミドールなど) 30~75mg(200~300mg)
・アミトリプチリン(トリプタノール、ラントロンなど) 30~75mg(100~300mg)
・トミプラミン(スルモンチール) 50~100mg(200~300mg)
・ノルトリプチリン(ノリトレン) 30~75mg(150mg)
・クロミプラミン(アナフナニール) 50~100mg(225mg)
◆2) 第2世代
<三環系>
・アモキサピン(アモキサン) 25~75mg(150~300mg)
・ロフェプラミン(アンプリット) 30~75mg(150mg)
・ドスレピン(プロチアデン) 75~150mg(200mg)
<四環系>
・マプロキリン(ルジオミナール) 30~75mg(150mg)
・ミアンセリン(テトラミド) 30mg(60mg)
・セチプチリン(テシプール) 3mg(6mg)
<その他>
・トラゾドン(デジレル、レスリン) 75~100mg(200mg)
・スルピリド(ドグマチール、アビリット) 50~100mg(300mg)
◆3) 第3世代
<SSRI>
・フルボキサミン(デブロメール、ルボックス) 25~50mg(100~250mg)
・プロキセチン(パキシル) 25~50mg(100~250mg)
◆4) 第4世代
<SNRI>
・ミルナシプラン(トレドミン) 50mg(100~250mg)
■13 臨床症状と抗うつ薬の選択
◆1)Ⅰ群 抑うつ気分、悲哀感、絶望、落胆
(適切な薬物のタイプ)抑うつ気分を解消させる抗うつ薬
・身体的に健康な成人、症状が重篤
イミプラミン、クロミプラミン、アモキサピン
・高齢者、身体合併症、低体重
フルボキサミン、パロキセチン、マプロチリン
◆2) Ⅱ群 不安、焦燥、取り越し苦労、内的不穏
(適切な薬物のタイプ)鎮静、不安軽減作用のある抗うつ薬
・身体的に健康な成人
アミトリプチリン、トリミプラミン
・高齢者、身体合併症、身体虚弱
パロキセチン、ミアンセリン、セチプチリン、トラゾドン
◆3) Ⅲ群 意欲の欠如、抑制、無感動
(適切な薬物のタイプ)意欲回復作用のある抗うつ薬
・高齢者では少量より漸増
ミルナシプラン、ノルトリプチリン、アモキサピン
◆4)Ⅳ群 身体的訴えと自律神経系の障害が主で抑うつ症状は目立たない(仮面うつ病)
(適切な薬物のタイプ)なるべく広い作用プロフィールを持つ抗うつ薬
・いずれも副作用は少ない
フルボキサミン、パロキセチン、ミルナミプラン、ロフェプラミン、セチプチリン、ミアンセリン、トラゾドン、マプロチリン
■14 入院の適応と判断するポイント
◆1)自殺企図、自殺念慮の存在(原則入院)
◆2) 身体の衰弱や合併症を伴う場合(特に高齢者)
◆3) 家庭環境、サポート体制
◆4) 重症、難治性うつ病
■15 治療(初診時等)のポイント
◆1)初診時には十分時間をかけて病歴をとる
◆2) 通院間隔
・原則として最初の1ヶ月は週1回の割合
・2ヶ月以後は2週間の通院間隔で十分な場合が多い
◆3) 治療の目安
・標準的には急性期は最低6~8週間を要する。
・もしこの期間に寛解が得られた場合には再燃防止のための継続治療を16~20週間行う。
・この間に再燃がない場合には寛解維持のための維持期に入る。
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