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■1 躁うつ病患者の心構え(本人) <6項目>
■2 躁うつ病患者の家族への忠告 <10項目>
■3 家庭での扱い方 <11項目>
■4 自殺防止のための注意 <11項目>
■5 周囲の対応の仕方 <13項目>
■6 受診してから家族にしてほしいこと <7項目>
■7 患者と接するためのポイント <14項目>
■8 使ってはいけない言葉(例示)
■1 躁うつ病患者の心構え(本人) <6項目>
◆1)躁病は場合によって良くも悪くもその人に働く。病人であることを恥じてはいけない。できれば躁病のエネルギーを良い方に向けてほしい。
◆2)自分は病気でないと思っている人も多いが、家族、信頼できる友人の忠告はおとなしく聞くこと。入院あるいは外来患者として専門医を訪れ、その意見を聞き、与えられた薬は忠実に飲むこと。
◆3)どうしても頭の回転が早くなり、こわいものなしという気分になろうが、五つすることは三つにし、できれば自分の本業にだけ全力を尽くすこと。ほかにやりたいことは山ほどあろうが、可能なかぎりセーブをすること。
◆4)怒りたければ怒ってもよい。笑いたければ笑い、泣きたければ泣くがよい。そういう感情の発散は天然自然のものであり、無理にそれを抑圧する必要はない。ただ、自分がノーマルではなく、その感情の発散が過度のものであることを、自分に言い聞かせること。
◆5)食事はきちんとすること。往々にして飲まず食わずで騒ぎまくる人があるが、身体的に疲れ、他の病気になるときもある。酒は適度にすること。アルコール性躁病というのもある。
◆6)いずれは自分が必然的にうつ病になることを考え、もしそうなったときのことをときたまは考えること。自分のうつ病であったときのみじめな状態を思い出すこと。
■2 躁うつ病患者の家族への忠告 <10項目>
◆1)うつ病患者を単なる怠け者と決めつけて、「あなたはそうゴロゴロしているからいけないのです。会社へはちゃんといらっしゃい。せっかく課長の椅子が待っているのに、そんなことではまた誰かさんに抜かれますよ」などと言うことは絶対にいけない。
◆2)「病は気からです。あなたのは気の病よ。体にも悪いわ。これから散歩をしていらっしゃい。さぁ、靴はここです。」などと励ますことも逆効果があるばかりである。うつ病者のつらさはそれになってみないとわからないもので、常識で判断して常人に対するように意見してはいけない。
◆3入院していて、面会人が来てにぎやかな会話、病人を励ますような会話があったのちなどはかえって危ないから、面会人を送っていったりせず、患者から目を離さないこと。
◆4)病人がしきりと退院したいと訴えているときは危険信号である。
◆5)自分でも躁うつ病についてある程度の知識を持ち、前に述べたような強制的な励ましでなく、「あなたも苦しいでしょうががんばってね。うつ病は時期が来たら必ず治るって先生も言っていらしたでしょ」というような、理解のある優しい言葉ならいい。
◆6)通院して治療を受けている患者には、家人が薬を管理しておいて、毎回、一定量の薬を与えるようにしたほうがよい。ある患者は薬を飲んだふりをして飲まず、或いは1週間分を一遍に飲んで自殺をはかったりすることもあるからである。
◆7)よくならないからといって、医者をやたらとかえるのはよくない。躁うつ病は非常に個人差があって、わずか1ヶ月のうちにも躁とうつのくるもの、2・3ヶ月周期、半年周期、何年もの周期のあるものがあるから、その医者が悪医であるという確証がない限り、昔からかかりつけの専門医に頼るべきである。新しい医者は、これまでのその患者の経過などを知らないし、どの薬があうかはまた日数が経たないとわからないからである。ただ、医者と患者もやはり人間であるから、相性というものがある。この相性が完全に欠けている場合は、医者を変えてもよい。
◆8)躁うつ病は気をまぎらすため、酒に頼る者もいる。これはある程度許してもよい。もちろん過度の飲酒はつつしまねばいけないが、医者ともよく相談してみること。
◆9)うつ病者は騒音を嫌う場合が多い。やかましくテレビ、ラジオをつけるのはそういう際は控えること。
◆10)見舞客は前記のことを知らず、「おい、あんがい元気そうじゃないか。明日からは会社に出ろよ。その方が早くよくなるぞ。」と無用の励まし方をするから、できるだけ断ること。
■3 家庭での扱い方 <11項目>
◆1)いまの苦しみや、能力の低下は、病気によっておこっているもので、「本音」ではないから、必ず治るものであることを本人に納得させる。
◆2)とにかく休ませること。ただ、いきなり会社を休ませると、いまごろは会社ではどうしているだろう。自分が休んだために、上司・同僚に迷惑をかけているのではないかと、かえって罪の意識がつよくなるから、会社の上司や親しい同僚等と十分連絡をとって休ませるという「根回し」をすること。上司から、「キミ、よくなるまで安心してゆっくり休み給え」と一言いってもらえば最高である。
◆3)自殺念慮ある場合には、自殺などしないよう約束させること。
◆4)病的な状況にあるときには、退職、離婚、退学等の人生の重大決定をさせてはいけない。うつ的なときは、往々にして辞職願いなどをだしがちであるが、病状が好転したあと、必ず激しく後悔するものだ。
◆5)うつ状態を元気づけてやろうと、無理に、旅行、ドライブ、観劇、運動などに連れ出してはいけない。ただ患者を疲労させるだけである。病状がよくなれば、おのずと運動、外出などしたくなるものである。
◆6)統合失調症は、レクリエーション療法や作業療法が必要だが、うつ病の場合はなにより休養を優先させた方がよい。
◆7)「しっかりしろ」、「がんばれ」、「なにをぐずぐずしているのだ」、「君も男だろ」などなど、激励の言葉は自信喪失、自己卑下など逆効果をもたらす。ああしろ、こうしろなどの指図のしすぎも同様である。
◆8)本人に同情することは必要だが、本人に同調して一喜一憂、周囲の者が大さわぎするのはよくない。過度の情緒的密着的家族highemotionalfamilyは病気の回復を遅らせ、再発にも役立つ。
◆9)ただし、やさしく、おだやかに、本人のいうことに耳を傾けてやることはおおいに結構である。
◆10)病院からもらってきた薬を早く効かせようと思って、指示以上の多量をのませる等勝手な行動はいけない。必ず医師と相談してからにすること。効をあせって大量に薬を与えると、だるさ、ねむけ、頭のボンヤリなどが強く襲ってきて、そのために患者は薬を嫌うようになる。
◆11)安易な見舞い客はできるだけ断る。会社の同僚などが、見舞いにきて、元気づけようとして賑やかにさわいでいったあと病状悪化、それがきっかけになって自殺したというケースもある。
■4 自殺防止のための注意 <11項目>
◆1)病相をくりかえし経験している家族は慣れているが、初発のときは経験不足で失敗することがある。
◆2)入院患者の場合には、退院要求が頻回になされるときは要注意である。
◆3)家族のあいだで、治療方針が一致しないときは危ない。精神科の専門家に診せる方がいい。いや診せるべきではない、入院させた方がいい、いや反対だなど、家族のあいだにゴタゴタがあると病状は悪化する。
◆4)早暁に目がさめる。眠りが浅い、「申し訳ない、俺が悪いんだ」という罪業感、自責感の強いときは要警戒。
◆5)元気のよい、賑やかな面会、見舞いのあったあとは気をつけること。
◆6)「死」という言葉が増え、片身分けのような行動、身辺整理的行動には注意が必要。自殺を考えると、何らかの「サイン」をみせるものだ。
◆7)病気が長引いて、病状の改善がはかばかしくないときは気をつけねばならない。
◆8)「あぶない」雰囲気がみられたら、大さわぎせず、「それとなく」目を離さず、危険物を「それとなく」取り除いておく。
◆9)お説教ではなく、気のおけない、肩のこらない対話をくりかえしてやるといい。
◆10)薬は家人が管理して本人には持たせないこと。自殺の目的で大量にまとめて飲む恐れがあること、果たして薬をちゃんと飲んでいるかどうかわからないからである。
◆11)「ライフ・ライン」等の電話自殺予防センター等の施設を利用すること。
■5 周囲の対応の仕方 <13項目>
◆1)説教、批判、強い激励的な言葉を避け、やさしく同調する。
◆2)右せんか左せんかの二者択一、決断を要することはしばらく差し控えること。
◆3)主治医の指示に従い、定期的に通院し、主治医との接触を続ける。
◆4)起床、食事、就床等規則正しい生活を。
◆5)適正な睡眠。その適正度は、服薬量とにらみ合わせ、主治医の意見を聞いて決める。
◆6)適正な運動をさせる。翌朝、疲れが残らぬ程度がよい。
◆7)医師の指図により適正飲酒もまた悪くない。
◆8)何かしたいができなくてイライラするときは、主治医に相談する必要がある。
◆9)職場においては、身体疾患と同じように、遅く出勤させ、早退させるなど、他人と差別(これが以外に多いのである)することは、かえって本人を苦しめる結果になるから、注意せねばならぬ。
◆10)職場において、何事もせかさぬ方がよい。上司も、報告書の提出期限にも手心を加える配慮が必要である。ただし、本人に悟られぬよう黙ってやること。
◆11)職場において上司が「強い言葉」を発したら、あとで「優しい言葉」をかけてやること。また嘲笑的な言動もよくない。
◆12)無趣味な人が多いから、何か適当な趣味を持たせること。ただし、強制せず自然発生的にするのが理想である。
◆13)要するにオーバーワーク、疲れすぎをさせてはいけないが、さりとて、あまり大事にしすぎて依存的にさせてもいけない。適当に「おだてて」自信をつけてやること。
■6 受診してから家族にしてほしいこと <7項目>
◆1)薬をちゃんと飲んでいるか、確認してください。
◆2)できる限り病気であることを理解してください。
◆3)日常の身の回りのことをやらせてください。
◆4)ストレスについて一緒に考えてください。
◆5)医師との連携を密にしてください。
◆6)日常生活で起こってくる様々なことを病気の症状として捉えてください。そして、やたら励ましたり、元気づけたり、叱咤激励しないでください。
◆7)大事なことは先延ばしにして、急いで決定しないようにしてください。
■7 患者と接するためのポイント <14項目>
◆1)十分な休養を保証する(眠っていても起こさない)。
◆2)励ましや叱責は逆効果なので、そっとして温かく見守るように徹する。
◆3)患者に決断を求めず、重要な決定は先延ばしにさせる。
◆4)外出や運動など、気晴らしを無理に勧めず、とにかくゆっくり休ませる。
◆5)家事などの日常生活上の負担を減らしてあげる。
◆6)自殺を考えていたら、「死にたい気持ち」をしっかり聞き、行動に移さないよう話をする。
◆7)発症時と回復時には自殺に特に注意する(重症の時期は自殺する気力も持てない)。
◆8)患者の話に耳を傾け、患者の辛さを理解し、受容的な対応を心がける。自分の考えを押し付けない。
◆9)患者になるべく声をかけ、孤独感を味わわせない。
◆10)死にたい気持ちはうつ病の症状であり、患者の本心でないことを理解する。
◆11)病気や死について話しやすい雰囲気を作る。
◆12)無理に助言や説得をしない(特に無神経な助言は厳禁)。
◆13)患者の出す自殺のサインを見逃さない。
◆14)患者に一番近い人は医師の話をよく聞き、患者の理解に努める。
■8 使ってはいけない言葉(例示)
×がんばれ
×性格的な問題
×親が悪い
×趣味を持て
×気分を変えろ
×甘えている
×大した仕事もしていないのに
×もっと楽に考えろ
×逃げているだけだ
×依存したいだけだ
×薬に頼るな
×根性で乗り切れ
×早く病院に行け
×暗い顔をするともっと悪くなる
×医者を変えろ
×薬を変えた方がいい
×温泉にでも行け
×こんなことで将来どうするんだ
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